前日痛みと不安に打ち震えながらも就寝した元地主に、3日目の朝には更に恐ろしい出来事が待っていた。それは前夜特にすることもなく、9時過ぎに就寝してしまったことから、思わぬ早朝に訪れることになった。
なんとなく目が覚めたのが4時過ぎ。まだ早いと水を一口飲んで2度寝を決め込んだのだが、5時半過ぎに再びの目覚め。そしていよいよ恐れていた出来事が・・・。
不意の便意。前日しっかり3食の食事に、調子こいてお菓子まで食べてしまったのがいけなかったのか?いやいや何もせずとも、自然の摂理により、いつかは訪れるこの瞬間。
恐る恐る便器に座り、腹の力をフッと抜いてみる。すでに解体されている黄門様付近にみなぎる緊張。勇気を奮い起こして深呼吸。もうひとつ。すると栄養分をすべて吸収されつくした前日摂取した食物が恐る恐る顔を出す。まだまだいけそうだが、力を入れるのもちょっと怖い。力を抜いたまままさに流れ出るに任せること数十秒。とりあえず便器を覗いてみるが、流血の惨事は免れたようだ。
なんとなく残っている感じがするが、これ以上この恐るべき場所にいるほどの勇気もなく、洗浄を開始。ちょろちょろと流れるシャワーにそれまでとは異なる、ピリピリとした刺激。もういい。もう十分戦った。とりあえず衛生兵から渡されたガーゼで水分を除こうと黄門付近に触れてみると、なんと解体されたはずの農地がまだ残っているようにちょこんと出っ張っているではないか!!
GHQの司令官 まさかの失敗では??
それでも何事もなかったかのようにまだピリピリ感の残る黄門部を押さえながら再びベッドにもぐりこみ、衛生兵が起こしにくるのをおびえた小動物のように巣穴から待つのであった。
7時の検温時に衛生兵からの、今日お通じは?の問いに、偉業を成し遂げた達人の境地で、小声で、しかし同室の隣人の元地主には聞こえるように1回ありましたとできるだけさりげなく。出血はありませんでしたか?と続く質問に、大丈夫でしたと今度はややはっきりと。しかしあくまでも「どうだ、やったぞ!」という心内を見られないように細心の注意を払ったことはいうまでもない。
その後朝食、そして大量の薬物を摂取した後、朝の検診。
3つある診察室を、掛け持つ司令官。おっとラッキー。今日はかわいい衛生兵の部屋だ!
おもむろにケツを差し出し診察台に横になる。と司令官殿いつものように「おはよう」といいながらいきなり黄門様を押し開き目視確認。「通便はあったようだね」の一言にさすが検温の衛生兵。しっかりと伝えてくれていたかと誇らしげに、しかし「ガーゼで拭ったときにでっぱりがあったようなんですが・・・」と聞いてみる。すると黄門様の周りをガーゼで拭き拭きしながら「ちょっと腫れてるね。今日からお風呂だからよく暖めてくださいと一言。」「はぁ~」ということで、診察終了。
その後部屋に戻りしばらくテレビなど観賞しながら待っていると、いよいよお風呂の時間。
先ずは洗髪。そして体を洗うが、ここでも細心の注意は怠らない。いつもなら半ケツあげて尻っぺたをごしごしタオルでゴシゴシと磨き、たまにつるっと滑って黄門様まで磨き上げるのだが、今日はその辺は省略。そして恐々と湯船に足を入れてみる。「あ~ 気持ちいい」 それから湯船に両手をかけて緩々と体をお湯の中に落としていく。あと少しで黄門様が着水。一瞬の緊張をはらむが、そのままスルスルと着水完了。「オッ 結構気持ちいい。 しみないぞ!」そのままゆったりとお湯につかりしばしの陶酔。
そしてお湯から上がろうとしたその刹那。あまり美しい話ではないが、お湯の中に漂う、かけらがふたつ三つ。「ウォ~。こっ・・これは」 なんと朝の快挙の残骸ではないか。
慌てて風呂を上がると、お湯を抜き、浴槽をゴシゴシと証拠隠滅にかかったのは言うまでもない。とりあえず物証とともに、髪の毛、指紋などを残さぬよう最後の点検を終えて、何事もなかったかのように再びベッドへ戻り、冷静に出来事を分析してみると、朝の快挙→ちょっとしたピリピリ感とともに残る不満足感→トイレでの洗浄・・・これが不十分だったらしい。→診察時の司令官の言葉・・・・ということはこのときまだ黄門様の周りには快挙の証拠が残っていたのだ!! ということは、朝ラッキーと思ったかわいい衛生兵にも見られてしまったに違いない!!! う~ん何たる不覚か。 しかし元地主たるものこんなことではめげていられない。 風呂場での完璧な証拠隠滅も行ったことだし、そんなことはまったく知らぬと言うかのように、何食わぬ顔でテレビ鑑賞にふけるのであった。
この日は更に昼食前にもう一度、夕食前にももう一度、そして夕食後と4回目でやっとすっきり感がおとずれた。言うまでもなくこの3回はかなり入念な洗浄を行った。
