おやじの威厳 13vs11

会社から帰ってくるなり、息子が
「おとうさん、いくつ?」 と鼻の穴を膨らませて詰め寄ってくる。
何もいわず、手にした紙袋をテーブルの上に置く。
息子すかさず覗き込み、「おれ11個!!」と早速挑んできた。
今日は、世のおやじが息子に対して威厳を示す バレンタインデーなのだ。
おやじは頭の中ですかさず勘定していた。 (マイナス1・・・)
しかし机の上には明らかにどこかからもらってきた、私宛の包みがひとつ。(これで同点・・)
しかしここで起死回生の一撃をくれてやらなければならない。
「おとうさんは、昨日6個と今日会社で4個だ。」
息子 いきなり「たったそれだけか? 勝ったな!」と更に鼻を膨らます。
すかさず、ここにあるのは誰のかな? すると奥さんが、いつも家族ぐるみでお付き合いしている近所のお母さんの名前を言う。
「これで11個だ。 同点だな。」 (フフッ まだこれからが勝負だ!)
「ところで、お母さんとトモからはもらってないな~。」
すると両側から手が伸びて袋が差し出される。
「これで13個だ!! 今年も勝ったな。」 (勝負あり!?)
息子は話題をそらして、テレビに向き直る。
2年ぐらい前から、勝負が激化しており、息子は打倒おやじに燃えているが、今年もおやじの威厳をしっかり示した瞬間だ!
自分が始めてチョコレートをもらったのは、小学校5年生ぐらいだったろうか?
それが中学になると、おやじ(わたし)のおやじがなぜか、数比べの勝負を挑んでくるようになった。
中学3年間はしっかり負けたのを今でも覚えている。その後はあまり気にならなくなったのだが、男子校に通いまったくもてなかったおやじ(わたし)は、高校でも勝てなかったのではないだろうか?
しかし今にして思うと、おやじのおやじはチョコレートを集めるために、2月14日は飲み屋をはしごして、かき集めてきていたのだということが、後でわかった。
別にチョコレートがほしいのではない。
男たるもの その数の多寡が威厳に通じるのだ。
おれも息子が中学を卒業するまでは、決して負けないと、決意を新たにした。
しかし実は一番数を集めたのは、いまや常識の「友チョコ」で30個近くを集めた娘だった。
わたしの中では 義理チョコ > 友チョコ なので別に気にならないけどね。
おまけ:
もう20年近くも前のこと。
まだ結婚前に奥さんから結構でっかい熊かミッキーマウスの像のチョコレートをもらったが、それが2年間も一人暮らしの小さな冷蔵庫に保管されていた。
結婚を前に新居に引越しをする手伝いに来た、若かりし頃の奥さんがそれを発見し、「これいつの?
随分前に上げたやつだよね。いつまで持ってるの?」
苦し紛れに「もちろん うれしくて食べられるわけないじゃないか」と一言。
しかし今では、もうわかっている。
チョコレートが食べたいのではなくて、単に数がほしいだけ。
もらったものは、いつの間にか、妻と娘の腹の中に入って、「あ~ぁ。また太っちゃった。」という会話が来週には聞かれることだろう。

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