前回(2004年11月の出来事(入社2ヶ月目)では、慣れない会社での予算作りについて、これまたダラダラと記載したが、今回はいよいよ、この会社での各地域のマネージャーが集まっての施政方針説明会の巻きです。
そもそもこの会社は世界20数ヶ国に展開していることは知っていましたが、西洋人といいますか、アメリカやヨーロッパの人が同じ会社の社員だなんてことは、想像したことがありませんでした。
11月末にこの月3回目の渡航を果たし本社に乗り込んでまずビックリ。
普段見たことのない人種が、ぞろぞろと本社の中を歩いているんです。
それが12月はじめに開催される、各国のオフィスを任されたジェネラル・マネージャー達だったんです。
会議は3日間の予定。
初日と翌日の午前中は本社の会議室で、次年度の本社の製品開発計画、マーケティング計画の説明がです。もちろん全部英語。この時点で一体何を云っているのか分からんという状態。それに輪をかけて分からないのが、イタリアなまりの英語、シンガポールなまりの英語でした。
それぞれの説明のあとに各国のマネージャーが活発な質問を行うのですが、そもそも説明の内容が分かっていないのに、更に聞きなれないなまり入り英語を聞かされ、この時点でもう完全に落ちこぼれです。
それでも眠らないようにと必死に自分を奮い立たせて会議の内容に耳を傾けるフリをしていました。
2日目の午後になると、今度はどこぞのリゾートホテルにみんなで移動。
そこでまたいくつかの議題の発表があり、食事+懇親会となったのです。
それまで、ほとんど発言することも無く、目立った存在ではなかったのですが、やっぱり日本の存在をしっかりとアピールするのが私の役目。ということで、宴会タイムに入ったところで、カラオケを所望したのです。
一応こう見えても(といって何も見えていないと思いますが)私は、この国に10年間出張を続けた男ですので、それなりにこの国の会食の盛り上げ方については、心得ているつもり。
ということで、3曲ある現地語のレパートリーの中から、最も得意な1曲をリクエスト。世界オフィスの会議とはいえ、参加者の半数以上が漢字の国の人ですから、ここはひとつ現地語でという受け狙い。
これがまた受けたんです。
前奏が始まっても、もちろん誰も見向きもしません。そこにすかさず登場し、漢字の言葉で自己紹介とイントロの前説を行い、いきなり流暢な(自分で勝手に思っているだけですけれども)漢字歌詞を歌い始めると、なんと目の前30cmぐらいのところまで社長の顔が近づいてきて、目をまん丸にして、じっと私のことを見つめているんです。(別に恋愛感情が芽生えたわけではないと思いますが)
そして、サビの部分で、マイクを差し出すと社長自らが歌ったんです。
でも社長は宴会が苦手なので、もちろん歌も人前で歌ったことはないですから、後できた話では、そのこと自体が珍しいのに、社長よりもお前のほうが歌がうまかったぞ(これはたぶんにお世辞が入っていると思いますが)ということになった。
歌が終わると、アンコールの拍手が。
もちろん慌てません。なんといってもレパートリーは3曲ありますから。
ということで、無事2曲を歌い上げ、存在感をしっかりアピールしたのです。
おかげで、3日目の各国の次年度戦略は、大した内容ではない発表なのに、ちょっとしたジョークも受けて無事に日本代表の役目を終えたのです。
まさに『芸は身を助ける』でした。
こうして就任から3ヶ月で、それなりに社内での自分の居場所を得たのでした。
